目的地がどこだったのか、よくは覚えていない。
でも、この電車で終点まで行ってみたい。おそらくそれが動機だった。
この夜もネオンが光るまぶしすぎる都会から抜け出したい。。。
電車に揺られて半日も過ぎた頃、日も横に傾きかけ電車も終点まで後一駅という頃。電車が駅に着いて、なぜだか分からないが無性に電車を降りたくなって飛び降りた。たぶん、電車に待ち時間が合ってその間に外に出てみたいと思ったのだろう。さすがに電車に半日揺られていれば身体の節々が痛くなる。
その場所は高台に位置していて歩いてすぐに道沿いに堤防のような急な坂をみつけ、何をしているのか地元の子供たちが集まっていた。急な坂の草の上に座り込んでみんな一方をみている。視線をその方向に向けるとまぶしいくらいの太陽が地平線より少し上のあたりで輝いていた。
重いかばんをそこにおいてしばらく探索してみることにした。太陽を背に道を歩いていくと並木道に差し掛かった。その道端の木々に目を向けるとツツジのつぼみがこれでもかというほどひしめき合っていて、ほんの一部咲いている。ツツジの花は淡いピンク色で揺らめいていた。
道の先に目をやるとなにやら空中を動くものがいた。よく目を凝らしてみると、めだかに透明な4枚の羽が生えてたような形で、金魚みたいなオレンジ色の胴体をしていた。トンボのような飛び方をしてそれが集団で20匹以上は飛び回っていた。その光景に心を奪われてしばらく見入っていた。それは地元の人々に「山のお魚さん」と呼ばれていた。
※この物語はフィクションです。
※一部想像により脚色してあります。